地震や台風など、いつどこで起きるかわからない自然災害。 ご自身の防災リュックやお水の備蓄はしっかりしていても、『愛犬の防災対策』となると、つい後回しになってしまっていませんか?
「避難所に行けばきっとなんとかなる」 「いざとなったら、犬の分も抱えて逃げればいい」
もし少しでもそう思っているなら、非常に危険です。 小型犬2頭と暮らし、22年間犬との生活を続けてきた私たち『わんラボ編集部』から、最初にはっきりとお伝えします。
いざという時、愛犬の命を守れるのは、国でも自治体でもなく、飼い主であるあなただけです。
東日本大震災や近年の大きな地震など、過去の悲しい教訓から、現在ではペットとの避難について様々なルールが作られています。
しかし、いざネットで調べても「とりあえずこれを買っておけばOK」といった表面的なまとめ記事が多く、何が本当に必要なのか迷ってしまう飼い主さんも多いのではないでしょうか。
「人間の物資は届いても、犬の物資が届くのはずっと後回しになる」 「避難所に行けたとしても、過酷なストレスが愛犬を襲う」
これが、災害時の決して目を背けてはいけないリアルです。
この記事では、環境省のガイドラインという「事実」に基づき、災害時に犬と避難する残酷な現実と、小型犬だからこそ絶対に削れない『本当に必要な備え(グッズ・しつけ)』について、忖度なしで徹底解説します。
愛犬の小さな命を守るために、今日からできることを一緒に確認していきましょう!
知っておくべき残酷な事実「同行避難」は「一緒の部屋で過ごせる」わけではない
災害時のペットの避難について、飼い主さんが一番勘違いしやすい、そして最も残酷な事実をお伝えします。
現在、環境省は災害時のペット対策として『同行避難(どうこうひなん)』を原則として推奨しています。これを聞いて、「避難所に犬と一緒に行って、隣で一緒に寝起きできるんだ!」と安心していませんか?
実は、ここには大きな落とし穴があります。
同行避難とは ペットと一緒に安全な場所(避難所まで)へ逃げること。
同室避難とは 避難所の中で、人間とペットが同じ居住スペースで過ごすこと。
環境省が推奨しているのは、あくまで「ペットを家に置いてけぼりにせず、一緒に避難所まで連れてきてください(=同行避難)」ということです。
避難所には、動物アレルギーの方や、犬が苦手な方も大勢います。
そのため、多くの避難所では「人間は体育館、ペットは屋外のテントや渡り廊下、屋根のない駐輪場などに繋いでおく」という厳しい対応が基本となります。
人間と同じ居住スペースで過ごせる「同室避難」を認めている自治体や避難所は、現状ごくわずかしかありません。
ご自身のお住いの自治体のHPを確認してみてください。
実は筆者もペットと避難できると聞いていて、当然同じ場所にいられると思っていましたが、
HPを確認したところ、同行避難推奨で同室避難できる施設はありませんでした。
慣れない環境でのストレスが、愛犬の命を削る
想像してみてください。 突然の災害でパニックになっている中、大好きな飼い主さんと引き離され、見知らぬ犬たちと一緒に、暑さや寒さの厳しい屋外のケージに入れられる愛犬の姿を。
特にマルチーズなどの小型犬は、環境の変化や温度変化に非常に弱いです。避難所で吠え続けて周りの迷惑になってしまったり、極度のストレスでご飯を食べられなくなり、体調を崩して命を落としてしまうケース(震災関連死)も過去の災害で多数報告されています。
「避難所に行けば安心」ではなく、「避難所という過酷な環境で、いかに愛犬のストレスを減らし、周りに迷惑をかけずに生き延びるか」。 これが、私たちが考えなければならない愛犬の防災対策のリアルです。
だからこそ、事前の準備が文字通り「命」を分けます。 ここからは、22年の飼育経験をもとに、小型犬の飼い主が「絶対にリュックに入れておくべき優先度別の防災グッズ」と、日頃からできる備えについて具体的に解説していきます。
愛犬のための防災グッズ・持ち出し品リスト
災害という極限状態において、人間の支援物資は届いても「犬の物資」が届くのはずっと後回しになります。
小型犬2頭を連れて避難する場合、あれもこれもと詰め込むと、重すぎて動けなくなるという本末転倒な事態になりかねません。22年の飼育経験の中で、「これだけは絶対に削れない」という基準で優先順位を整理しました。
【優先度:高】命に直結するもの(今日からリュックに!)
これらは、避難所に到着した瞬間に「持っていないと詰む」アイテムです。支援物資を期待せず、最低でも1週間分は自力で確保しておく必要があります。
①食べ慣れたフードと水
避難所では極度のストレスで食欲が落ちます。普段から食べ慣れているものを、小分けにして用意しておきましょう。
水分補給は、脱水症状を防ぐために水は普段より多め(1日300〜500ml程度×頭数分)に計算しておくと安心です。
フードの保管状態や賞味期限などにも留意し、定期的に入れ替えましょう。
②常備薬・療法食
もし愛犬が持病を抱えている場合、これが無ければ命に関わります。
お薬手帳や、現在飲んでいる薬のパッケージのコピーも一緒に入れておきましょう。
我が家の愛犬は持病があるのですが、病院でお薬を処方してもらう際に、念のため次回の受診日までの日にちより、1週間分は多めに処方していただくようにお願いしています。
③伸びないリードとハーネス
パニックになった犬は、普段考えられない力で脱走しようとします。首輪は抜けるリスクがあるため、避難時は体をしっかりホールドするハーネスの使用を強く推奨します。
【優先度:中】トラブルを防ぎ、清潔を保つもの
避難所での最大の懸念は、周囲への『ニオイ』と『不衛生』によるトラブルです。これらを準備しておくことで、狭い避難所内での肩身の狭い思いを減らすことができます。
①強力な防臭袋(BOSなど)
避難所ではゴミがすぐに捨てられません。犬の排泄物のニオイは、想像以上に周囲のストレスになります。
普通の袋ではなく、医療用レベルの防臭袋を用意しておくのが「飼い主の最低限のマナー」と言っても過言ではありません。
②マナーウェア・トイレシート
普段はお外でしかトイレをしない子でも、避難所では室内(ケージ内)での排泄を余儀なくされます。慣れない場所での粗相を防ぐため、マナーウェアは必須アイテムです。
ペットシーツは人間の簡易トイレなどにも利用できるので、
日頃からやや多めにストックしておくとよいかもしれません。
③ウェットティッシュ・ドライシャンプー
断水時には愛犬の体を洗うことができません。
汚れや菌を拭き取るための大判のウェットティッシュ(シャンプータオル等)を多めに入れておきましょう。
流す必要のないドライシャンプーは、日頃のお手入れにも使えるので常備しておくと便利です。
【優先度:低】愛犬の「心」をケアするもの
体の健康だけでなく、パニックになった愛犬の心を落ち着かせるためのアイテムです。
①飼い主の匂いがついたタオル
避難所のケージの中で、あなたの匂いがするタオルが1枚あるだけで、愛犬の不安は劇的に解消されます。使い古したTシャツなどでもOKです。
②長持ちするおやつ
何もすることがない避難所での待機時間は、犬にとっても苦痛です。
カミカミすることでストレスを逃がせるよう、安全な硬さのおやつを忍ばせておきましょう。
ビルバックのベジデントフレッシュは、独自の「Z字型」でしっかり噛みやすく、植物由来で適度な弾力があるため、安全な硬さという基準をしっかりクリアしている優秀なアイテムです。
愛犬と荷物を抱えて逃げる「移動のリアル」
多くの飼い主さんが「普段使っている手持ちのキャリーバッグ(クレート)で」と考えがちですが、
両手が塞がった状態での避難は、瓦礫や浸水がある悪路では転倒のリスクがあり非常に危険です。
また、ご自身の防災リュックも背負わなければならないことを忘れてはいけません。
そこで、安全に同行避難をするために強く推奨したいのが、状況に応じた以下の2つの移動手段です。
両手が完全に空く『リュック型キャリー』
避難時の大原則は「両手を空けておくこと」です。懐中電灯を持ったり、身を守ったりするために手は必ず使います。
リュック型であれば、背中に人間の防災リュック、前に愛犬のリュックと抱える形で、安全に身動きを取ることができます。
パニックになった愛犬が中で怪我をしないよう、底板がしっかりしていて踏ん張れるタイプを選ぶのがポイントです。
我が家ではリュック型で拡張機能が付いたものを準備しています。
ネットで拡張できるようになっていて、簡易的なケージとして使用できるようになっています。
使わない時は折りたたんで収納できます。
災害時に頼れる!安全&人気の「拡張型」リュック3選
「具体的にどんなリュックを選べばいいの?」と迷ってしまう方のために、安全性と使い勝手で高く評価されているおすすめの拡張型リュックを厳選しました。
もしもの時に備えて、愛犬のサイズに合ったものをチェックしてみてくださいね。
①【安全性トップクラス】Tresbro(トレスブロ) 拡張可能キャリー
骨組みがしっかりしていて型崩れしにくいため、背負って走っても中の空間が潰れません。
拡張部分のメッシュも丈夫で、パニックになった犬が引っ掻いても破れにくい頑丈さが特徴です。
②【飼い主の負担軽減】Pecute(ペキュート) 拡張可能リュック
重さを分散する極厚の肩パッドやチェストベルトが付いており、両手を開けた状態で長時間避難する際の、飼い主さんの体への負担が少ない設計になっています。
10kgまでの耐荷重があり、空間も広めなので小型犬が中で伏せをして休むのに最適です。
③【安定感と広さ】Kom&Kom DELLEPICO ペット用リュック
耐荷重が13kgと余裕があり、リュック自体の安定感が抜群です。
空間が広く取られているため、少し体高のある小型犬でも窮屈になりません。
拡張部分を広げると、避難所でも簡易的なケージとして十分な広さになります。
リュック選びで「絶対に妥協してはいけない」3つの安全チェック
①ロック式のファスナー
器用な犬やパニックになった犬は、中から鼻先でファスナーをこじ開けてしまうことがあります。
引手を合わせるとロックがかかる機能は必須です。
②飛び出し防止リード(内側)
避難所で少しだけお水やご飯をあげるために上部を開けた瞬間、パニックで飛び出すのを防ぐための「命綱」になります。
③底板の硬さ(安定性)
底がハンモックのようにたわむリュックは、犬が足を踏ん張れず酔ったりパニックになったりします。底板が硬く、水平を保てるものが安全です。
避難所での待機場所にもなる『ペットカート(バギー)』
もし避難所までの道が比較的平坦であれば、ペットカート(バギー)は非常に心強い防災アイテムになります。重い水やフードなどの犬用物資も一緒に乗せて運べるだけでなく、最大のメリットは
「コット(居住部分)を取り外して、避難所での安全なケージとして使えること」です。
周囲を覆ってあげることで、他の人や犬の視線を遮り、愛犬のストレスを大幅に軽減することができます。
防災用としても頼りになる、機能性の高いカート3選
①【悪路の走破性No.1】
『AirBuggy for Pet(エアバギー)DOME3 ブレーキモデル』
エアバギーは種類が多くて迷ってしまいますよね。
同行避難、防災用として選ぶなら、手元で速度をコントロールできる『ブレーキモデル』が圧倒的におすすめです。
振動を吸収する大きな『エアタイヤ』を採用しており、災害時のガタガタ道や段差でも驚くほどスムーズに進みます。
フレームは非常に頑丈で安定感があり、コット(座席)はワンタッチで取り外し可能。
DOME3シリーズは屋根が180度開閉するため、避難所では屋根を半分だけ閉めて「安心できる薄暗い隠れ家」を作ってあげることができます。
小型犬の多頭飼いや、一緒に防災物資を乗せたい方には、耐荷重20kgのラージサイズが頼りになります。
②【安定感と居住性の高さ】
『Piccolo Cane(ピッコロカーネ)CARINO α(アルファ)』
日本で初めてペットカートを作ったメーカーの製品で、安全面へのこだわりが詰まっています。
『CARINO α』は、パニック時でも一瞬で屋根を閉められる「ワンタッチバックル式」を採用しています。
さらに、コット内部の飛び出し防止リードが従来よりも太く頑丈にアップデートされているため、防災時の安全性が非常に高く評価されています。
コット単体で床に置いたときの安定感も抜群なので、避難所での長時間の待機でも安心です。
③【軽量&衝撃吸収】
『コムペット ミリミリEGロング(Compet)』
ベビー用品メーカーの『コンビ』が開発した、赤ちゃんの頭を守る超衝撃吸収素材『エッグショック』搭載のカートです。
『ロング D』モデルは通常のカートよりもコットが長く、小型犬2頭でもゆったり過ごせます。
耐荷重15kgで飛び出し防止リードも2本標準装備されているため、多頭飼いの方の防災用に最適です。 コットはワンタッチで取り外して避難所での簡易ハウスとして使えるのはもちろん、カバーを丸洗いできるので長期間の避難生活でも清潔さを保てます。
フレーム自体が軽く、いざという時はコンパクトに折りたたんで持ち運べる点も、悪路での避難を想定すると非常に心強いポイントです。
防災目線でのカート選びの必須条件
コット(座席)が分離できるか
避難所の中にフレームごと持ち込めないケースが多いため、コットだけを取り外してハウスとして使える『分離型』であることが大前提です。
フルカバーで視界を遮れるか
パニックによる飛び出しを防ぐだけでなく、避難所での過剰な刺激(見知らぬ人や音)から愛犬を守るために、屋根をすっぽり閉められるタイプを選びましょう。
タイヤの頑丈さ
災害時は道路に物が散乱している可能性があります。
プラスチックの小さなタイヤではなく、サスペンション付きやエアタイヤなど、振動に強いものを選ぶと安心です。
どんな名品も「日頃のしつけ」がなければ無力になる
ここまで、絶対に削れない防災グッズや安全な移動手段について解説してきました。
しかし、どれだけ高機能なリュックやカートを買い揃えても、いざという時に愛犬がパニックを起こして入ってくれなければ、全く意味がありません。
モノを揃えることと同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのが、以下の「日頃のしつけ」という防災です。
クレート(リュック・カート)トレーニング
災害時、怯える犬を無理やり見知らぬバッグに押し込むのは非常に困難ですし、犬にとっても大きなトラウマになります。
普段からリュックやカートを部屋に置き、中でおやつをあげたり、お昼寝の場所にしたりして、
「ここは安心できる自分の部屋(テリトリー)だ」と認識させておくことが、最高の防災になります。
マナーウェア・室内トイレへの順応
「普段、お散歩の時しか排泄しない」という子は、避難所という限られた空間で我慢し続け、膀胱炎などの病気になってしまうリスクが跳ね上がります。
いざという時に備え、室内でペットシーツの上で排泄する練習や、マナーウェア(おむつ)を履いたまま違和感なく過ごす時間を日頃から作っておきましょう。
【まとめ】愛犬の命を守れるのは、飼い主であるあなただけ
災害時の「同行避難」には、人間の支援が優先されるという厳しい現実が伴います。
だからこそ、以下の3つの柱を今のうちから固めておく必要があります。
①最低1週間は自力で生き延びるための物資「フード・水・薬」
②両手を空け、悪路でも安全に逃げ切るための「移動手段(リュックとカートの併用)」
③避難所での過酷なストレスから心を守る「日頃のしつけ」
この3つが揃って初めて、愛犬の小さな命を確実に守り抜くことができます。
「いつかやろう」「避難所に行けばきっとなんとかなる」と後回しにする余裕は、もうありません。
過酷な環境下で、愛犬を守れるのは国でも自治体でもなく、飼い主であるあなただけです。
まずは、今日からできる「フードの多めストック」や「リュックを部屋に置いて慣れさせること」から、さっそく始めてみませんか? 大切な家族を守るための第一歩を、今日踏み出しましょう!


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